「電車男」第4話~打ち明けた過去~
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私は、信じるしかありませんでした。
奇跡を願うしかありませんでした。
そして、当日・・・。
奇跡は起きました。
待ち合わせの交差点の角に、
彼女が現れたのです。
私は一瞬、目を疑いました。
なぜなら、
「きっと、ドタキャンされるだろう・・・」
と、ほとんど諦めていたからです。
前日、待ち合わせの確認に対する
彼女のメールの返信は素っ気なく、
99%、キャンセルされることを
覚悟していたのです。
そういえば・・・
強引に携帯を取り上げた男に、
強制的に再会の予定を入れられ、
素直に応じるはずがない・・・。
冷静に考えて、その当たり前のことに
気付いていたのです。
しかし、彼女は、目の前に現れました。
「奇跡だ・・・」
私は、満面の笑みで
駆け付けたい気持ちでした。
でも、その衝動を抑え、
クールにカッコ付けて、
助手席に誘いました。
「来てくれてありがとうございます。
本当に来てくれるとは思わなかったので・・・。
嬉しいです。」
素直に伝えました。
すると彼女は、
「実は、ギリギリまで迷いました。
でも、電話やメールが誠実そうでしたし、
友人が・・・」
私と彼女が出会ったのは、
それぞれの友人の結婚式に
向かう途中でした。
そして彼女は、披露宴の席で、
久しぶりに再会した元同僚のAさんから、
こんな話を聞いたのです。
「実は私、毎朝電車で会って気になっていた人に、
声を掛けられたの。
・・・それで、
付き合うことになったんだ。」
彼女は驚きました。
「私、さっき電車で携帯を取り上げられて・・・」
Aさんは、大きな声を出して笑いました。
そして、
「あなたはそういうのに乗るタイプじゃないけど、
それも出会いの一つの形よ。」
彼女は、Aさんのこの言葉が
とても気になっていたそうです。
そして後日、私の電話やメールのことも
相談したところ、
「まあ、悪そうな人じゃないね。
一度会ってみたら?」
と、Aさんが彼女の背中を
そっと押してくれたのです。
「Aさんがそう言ってくれなかったら、
こうして再会してないですね?」
私の問いに、彼女は少し微笑んで、
ゆっくりうなずきました。
私は、この再会が自分の実力でないことに
少しのショックを受けながらも、
Aさんに最大の感謝を捧げ、
車を走らせました。
そして、車中の彼女の横顔や所作を見て、
改めて、本当に素敵な人だと
感じていました。
白金台のカフェに着き、私は改めて、
自分の半生を話しました。
嫌われるかもしれないけど、
自分のことをしっかり伝えたいと
思ったのです。
そして、私の話を一通り聞いてから、
彼女が口を開きました。
私は彼女の話に、鳥肌が立ちました。
お互いが打ち明けた過去が、
急激に、二人の距離を近付けたのです・・・。
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藤沢涼
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