書き言葉だけでは頭が悪くなる
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人間が黙読するようになったのは
10世紀になってからだそうです。
それまでは、
音読するのが当たり前でした。
そして、音読こそが、
脳にとっても自然なことなのです。
確かに、
黙って読むということは
神経を集中することを強います。
私は、内容が頭に入らない時、
声を出して読むことで
理解が進むことを体感していますし、
音声コンテンツによる
学びの素晴らしさも、
熟知しています。
音が、脳にダイレクトに
届いていくのですね。
人は、黙読している時、
書かれた言葉を脳で
音声に転換しています。
つまり、頭の中では、
自分に音読して
聞かせているのです。
さて、「話し言葉」から
「書き言葉」への過渡期に生きた
哲学者ソクラテスは、
「書き言葉が話し言葉に
とって代われば、
若者達の頭が悪くなる。」
と憂いていました。
その観点で見ると、
現代には、恐ろしいような
光景が広がっています。
例えば、最近の若い方は、
一緒にご飯を食べに行っても、
テーブル越しにLINEやメールで
会話していますよね。
話すことを止めてしまって、
書くことだけで
会話しようとしています。
また、ビジネスマンでも、
すべてがパソコンで完結するので、
気付いたら、一日誰とも話していない、
なんてこともある時代です。
これは、大変危険です。
「書かれた言葉」は、
生きている魂を持った「話し言葉」の
影に過ぎません。
身振り、手振り、
顔の表情、視線などを使い、
声音やリズムを使い分けることこそが、
相手への影響力を持ちます。
また、その力を強くする努力が
脳を鍛えていくのです。
私は、ソクラテスが憂いたように、
現代の人間の脳が弱体化することを
とても心配しています。
人と積極的に「対話」することが、
コミュニケーション能力を高め、
脳を強くしていくのだと
心掛けておきたいですね。
藤沢涼
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